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傷は完治している。
今まで顔全体を覆い、肩甲骨の真ん中辺りまであった髪は、今ではさっぱりとして居る。
「ふっ、相変わらず滑稽だよな。」
俺が生きる理由であり、よく似た少年が存在できる理由。
『なに言ってるのさ。』
響く声。
「俺にも思うことがあるってだけの話さ。」
廊下に出た瞬間から聞こえる喧騒の場を避けながら歩く。
「けーいー、珍しく遅いな次いでに髪短ーい。」
おぉう、ばれましたね。
「はぁー、落ち着く。」
「重い。降りろ、真澄。」
神木真澄(かみきますみ)、俺の知り合い、って言いたい。
「にしてもお前、可愛い違った。イケメンだったんだな。」
「はぁ?なんだよ、気持ち悪い。」
『良かったじゃない。』
五月蝿い。
「周りをみろよ、みんな騒いでんの、お前に。」
いつも通り真澄に対してだろ。
「おはようございま~す。」
「はよ。」
ガラガラー勢いよく扉を開け放ちズカズカ入って座る。
「あんなやつこのクラスに居たっけ?」
「てか今日鈴原来てなくねぇ?」
え、なにこれ集団イジメ?
鈴原来てますけど。
「ってかかっこいー。」
「いやあれは可愛い系っしょ。」
可愛いか?真澄は男前系じゃねぇの?
『とことん鈍感&無意識。』
なんの話さ。
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