第1章

4/12
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
そのままドアを静かに閉じられました。大慌てで中に入ると ライトは唐草模様の風呂敷に、荷物をまとめていました。 「えっと、えと。あの、えと。」 『干支に猫はエントリーしていません。』 「えーっとですね。ライトさん。一体何をなさっていますか? あのその。メメさんお腹空いちゃったなぁ!今日は何かな?」  ライトは転生以後、火も怖がらないし道具も器用に扱うので 料理も得意なのです。べ、別に私が料理が下手というわけじゃ。 『メメ様。可愛らしい仔猫に出会えた事をお祝いいたします。 それではこれで。夕飯は冷蔵庫にあるのでチンして下さい。』  そんなオカンみたいな言い方されても困るのです。 待って待って待って待って!ライトさん待ってよおお! 必死で抱きとめて、玄関を塞ぐ私。  ライトさんの冷ややか眼と苦笑い。 『ハハハ。どうされたんですか。メメ様に似つかわしくない。 新たな可愛いパートナーが、来た事は喜ばしいことです。 それでは私はこれで。』  中途半端に人間に近くなった分、拗ね方が半端ない。 眼が死んでるし。 「お願い待って待って待って!」 『何か心配事でも?私は仕分け倉庫のアルバイトで、 充分やっていけますので。ご心配なく。』  ガチャ。バタン。  出て行っちゃった。ライトが。ライトがぁあああああああ! うわああんん!ライトぉおおお!らいとおおおお! 間髪入れずに、ビビアンがお腹が空いたようで鳴き始めた。  とにかくライトが、実は一人でも生き抜いていけるって うすうす感ずいていたけれど、こんなに早くに来るなんてぇ。 ライトのアルバイト先は知ってるから、とにかく今は ビビアンのエサをあげよう。グス。  歯がないし、ミルクをあげてみる。凄い勢いで飲み干した。 ライトの缶詰も食べれるかな。歯が無いから難しいかな。 無関係に暴飲暴食してるビビアン。  猫って。逞しい。ライトだけじゃないんだなぁ。  当たり前の事を当たり前のように感じている。 ビビアンが落ち着いたので、少し安心して冷蔵庫を開ける。 ラップされたオムライスには、ケチャップ猫の絵が描いてある。 【ライトの自信作!】って描いてある。肉球のマークもある。  ライトおおおおおおお!!うえーーーん! 今日に限って原稿もないし、アシさんもいないし。 美味しい。美味しいよおおお!ライトぉおおおおお!  メメ様は、一人ぼっち。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!