第1章

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 じゃない。ビビアンがいる。でもライトの気持ちを考えると。 やはり貰い手を探さないといけないと思う。ビビアン。 毛が抜けて、歯が抜けて、痩せこけて。多分誰も貰ってくれない。 どうしたらいいの。こんなときこそライトだけが頼りなのに。  ライトぉぉぉおおおおお!  という、家のなかの悲痛なメメ様の鳴き声を玄関横の ライト小屋で聴いてる。人間のように話して道具が使えて 二歩足であるけるからといって、同時に4速歩行も出来るし 猫語も喋れるし、猫ヒゲレーダーも使える。  なので、ライトはさっきからこの玄関にいる。 風呂敷から自分のご飯を出して食べている。 ライトはメメ様とは全く違う事を考えている。  正直にばらしてしまおう。あの我侭女王様のメメ様は 多分、飼い主なんか探さない。最終的に家で飼うって言うはず。 でも俺様こと、ライトのようにほとんどペットではなく 雑用からアルバイトまでこなす俺に慣れちゃった以上は このままだと、ビビアンだかなんだか知らないが あいつの面倒を見るのは確実に俺になってしまう。  だから猫を飼う感覚を思い出すまで、勝負ですよ。 頑張ってメメ様。俺は明日からアルバイトに行きますので。 その間に仔猫の飼い方を思い出して下さい。 というわけだ。ビビアン。しばらくの間メメ様を頼むぞ。  そうして翌朝、ライトは仕分け倉庫のアルバイトに向った。  ちなみにお腹一杯になったビビアンは、メメ様の家中に 自分の匂いを擦り付けて縄張りを拡大するのに、懸命だった。 三者三様に、何処吹く風という一夜であった。 <さて、同時刻の三者三様を順に見ていきたい。> 1:ビビアンの場合。  何が何だか解らないけど、とにかくアタチを拾ってくれた。 この人がごちゅじんたま(ご主人様である。ご囚人様ではない。) 朝ですよ。ご飯ですよ。起きてくだしゃい。起きて、起きて。 グリグリ。ペロペロ。ムニムニ。  アタチは生まれて直ぐカカさま(母様)から、遠く離されて あの土手のダンボールに投げ込まれまちた。だから母様のことは 憶えていないのでち。なので、拾ってくれた人がカカさまでち。 とにかく朝だから、ご飯。ご飯。ムニムニ。 2:メメ様(新木芽々子)の場合。 「むうん。昨日は疲れてるんだし、締め切り過ぎたから もうちょい寝かせて。ライトー。ご飯作ってくれたら起きるから
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