第1章

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多くの方に引き取ってもらった、若しくは……いい難いのですが 捨てたという飼い主の方について、ご存知ないでしょうか。 あ、はい。そうです。隣町なんですが。はい。1歳未満くらいで 薄茶と白ツートン雑種で痩せた猫で。あ、歯が牙の4つしかない って特徴にならないでしょうか?はい。すいません。じゃあ、 万が一そういう情報があったら、この番号に。家で保護してます。 はい。あ、もちろん報酬はお支払いします。え? 何故、元の飼い主を探すのかって?……ぶん殴る為ですよ。 他に理由が必要でしょうか?……え?無報酬でいいのですか? 飼い主発見より先に、情報を頂けるのですか?それって。 あ、はい。【そんな奴は飼い主じゃない】ですか。は、はい。 あの、声が怖いのですが。ああ、すいません。何卒宜しくの程。」  ガチャン。  あの探偵さんは物凄く怒ってた。同時に何でかしらないけど 私に感謝までしてた。どういう人なんだろう。不思議な人だね。  お腹空いて来ちゃった。ライトはまだ戻らない。 今度からライト用の携帯も持たせないと駄目だ。怖いよライト。 ニャーニャー鳴いてる。泣いてる。ライト、ゴメンね。 辛いよね。怖いよね。でも、ライト。貴方と私が出会った事を まだ人間のように振舞えなかった、あの時を覚えてる? 貴方にだけは、ビビアンの気持ちが判るって思うのは 私の勝手なエゴなのかな。ごめんねライト。  ニャーニャー。  そんなに鳴かないでライト。違う。ライトはいつも。 決して泣かない。鳴くことはあるけど泣かない。 ライトは騎士のように強い。光の騎士。  ニャーニャー。  違う違う違う違う!これはビビアンだ!廊下だ! いつのまにか、こんなに暗くなってる! ビビアン!大丈夫?!いまいくから!  ビビアンは、掃除道具のコロコロに前足後足と尻尾まで ペッタリくっついて動けなくなってる。  あんた。いい、家族になる気がする。これもエゴかな。 3:ライトの場合。 「この作業積み終ったら、今日はあがっていいからねー。」 『あ、はい!お疲れ様です!』 「お疲れ様は早いだろう(笑)速いのもいいけど、丁寧に 安全確認でお願いだよー。」 『了解です!何せ数十キロも、ありますもんね! 中身を傷つけないように。オラーイ、オーライ。 いいですよー。ゆっくり荷物を下ろしてくださーい。』  あ。  一瞬の油断だった。
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