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「クリアス!走れ!」
イアランが怒声をあげると同時に、敵に斬りかかる。疾風、というような速さで敵陣に突進したが、その斬りかかりをファルコンは受け止め、キイン、という金属音が辺りに響いた。
しかし、クリアスは動こうとしない。
「クリアス!早くしろー!!」
「なんで…ふざけんなよ、わけわかんねえよ。いきなり急展開すぎるだろ…無理だよ、父さんおいて逃げるくらいなら」
クリアスは、持っていた剣を鞘から出し、力を込めた。
「俺はやる!」
そして振りかぶり、敵に向かい突進する。
「うおおお!」
「…バカ野郎」
ガキィン!
響く音。受け止めたのは、親衛隊の盾だった。
「中々いい振りだ……ん?」
一度はしっかり受け止めた剣戟だが、その盾に、ビキビキ、と衝撃が走り、そして次の瞬間、粉々に砕け散った。
「んなっ……」
持ち手だけになってしまった左手と、破片と化して地面に散らばった盾を見て、親衛隊は驚愕した。
「あれは……バスタードソード!そうか、イアラン、きさま、あれをあいつに」
「ふんっ!」
ファルコンと対峙していたイアランも、再び剣を振りかざす。
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