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ファルコンはクリアスの方に向かい歩き出した。
「…なぜこいつを育てようと思ったのかわからんが、まあイアランが息子にしたやつだ。こいつも私が止めを…」
「と…父さんは…」
クリアスは、顔も動かせない状態でかろうじて声を発した。一撃の重さはイアランが上だが、受けた攻撃の数は明らかにクリアスの方が多い。はたから見たらクリアスの方が重傷に見える。
「ん?ああ、イアランは死んだよ。私にかなわずな」
「と…父さんが…死んだ…」
「ああ。でも悲しむことはない。君もすぐそこへ行ける。きっとまたすぐ会える」
「お前が…殺した…のか……」
「ああそうだが」
クリアスの表情はうつ伏せになっているので伺い知ることはできない。
さて、止めを刺そうと思ったファルコンだが、踏み出そうとした足を、止めた。
異様な雰囲気を感じたのだ。
「ファルコン様?どうされました?」
親衛隊の一人が疑問を投げかける。
「ん?あ、いや、何でも……」
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