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少しして、竜巻はおさまった。外にいたとはいえ、風に打ち付けられた火山灰を大量に浴び、灰色になった体を気にすることもせず、中の様子に気を集中した。
竜巻が完全に消え去り、その場には一人だけが立っていた。あとの数人は全て地面にふせっている。しかも血を流したりと、どうやら損傷を負っている模様。
「なっ……貴様、なぜ…」
ファルコンは、唯一立ち上がっていた、クリアスに向かい、狼狽えたように声をかけた。
さっきまで瀕死の状態だったはずのクリアスが健在で、逆に彼を追い詰めていた親衛隊が壊滅…竜巻の中で何が起こったというのか。
「お前……許さねえ」
クリアスの眼光は鋭く、油断なく、ファルコンをただ一直線に見ていた。
少し狼狽えたファルコンだが。
「……ははっ、何があったのかは知らんが、魔力を身につけた私にはかなうまい、イアランさえ私に負けたのだからな」
しかし次の瞬間。
ズバッ!
「うぐっ!?」
ファルコンの両肩から胸の辺りを切り裂くような斬撃が起こった。
クリアスは、もといた場所から動いてはいない。回りを見回しても、親衛隊、イアラン共に倒れている。
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