37人が本棚に入れています
本棚に追加
刹那、と呼ぶほど一瞬。
ファルコンはクリアスの体を通りすぎた。自分でも会心の一撃を喰らわせた手応えを感じていた。
が。
ボロッ
ファルコンの剣が、刀身の途中から上が、砕けるようにこぼれ落ちた。
「なっ……私の、ファルシオンソードが……力も増強していたはずなのに、なぜ」
「盾で受け止めたからな」
「盾だと?そんなものどこに…」
クリアスは盾など持っていない。何を言っていると思ったのもつかの間。
「……風、か」
「確かに真正面からあんたの剣を受けたらひとたまりもない。風であんたの突進力を弱めたんだ。あんたが気付かないくらいの一瞬な。まあそれとこの剣のおかげでもあるが」
「…バスタードソード…剣の本質である、相手を切り裂く、のではなく、相手を砕くことに長けた王家の至宝…それで私の剣を打ち砕いたのか…」
「さあ、解説はもういいだろ。終わりにしてやる」
最初のコメントを投稿しよう!