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次の瞬間、竜巻が一瞬にしてファルコンを包み込み、足を救われる。力を増強しているとはいえ、踏ん張れる土台がなければ、意味がない。
「くっ…貴様…」
「父さんは、俺に言葉を、生きていくための術を、何もかもを教えてくれた。たまに町には行ったことがあるが、父さん以外の人と口を聞いたことはほとんどない。父さんがどんな大罪人だろうと、父さんは俺のたったひとりの家族なんだ。それを奪ったお前を、俺は許さない!死ね!」
竜巻で自由を奪われたファルコンの宙に浮く身体めがけ、クリアスは跳んだ。
そして父親から受け継いだバスタードソードで、ファルコンの体を一刀両断、切り裂いた。
「ぐあああーっ!!」
凄まじい断末魔とともに、ファルコンの身体は、切り口だけでなく、バスタードソードの特徴でもある、砕く、という力を発揮したようにあちこちが損傷し、破裂した。
カチン、と、クリアスは剣を鞘におさめた。
だが、闘いに勝利した達成感など皆無。虚無感だけがそこに取り残されていた。
「…く、クリアス……」
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