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少年の住む家は、深い森のすぐそばにあった。家というよりは小屋に近く、部屋は一つしかない。
そして森とまるで境界線を作るかのように、反対側の大地は灰色に覆われたどこまでも続く平野。少年の家はその森と平野の境目あたりに建っている。
「まあ、30年前に火山が大爆発して以来、ここから向こうはまさしく死の大地だからな。草木すらまったく生えていやしない」
「ところで、話戻るけど、なんで急にこのタイミングであの告白?」
「ん?いや、もうクリアスも大人だから、残酷な現実も受け入れられるかなと思って」
「ここに住んでることがすでに残酷な現実だけどね」
「それを言うなよ」
残酷な現実と評された家は、森と火山灰に覆われた大地以外は何も見えない。もちろん二人以外、誰もこの近辺に暮らしてる人間などいない。
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