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「ってことは、やっぱり俺って拾い子?」
「…まあ」
「本当の親は行方不明?」
「…まあ」
「生まれた場所ももちろん不明?」
「…まあ」
歯切れの悪い返事を返す父親とはうってかわって、少年クリアスはさもちょっとした世間話をするかのような口調で質問をする。
「でもそんなことどうでもいいんだけどね。俺の父さんは父さんだから」
「クリアス…」
父親は、クリアスが動揺するだろうという覚悟はしていたが、あまりにも普通に受け入れられたため、逆に自分が動揺してしまった。
「さ、父さん。修業しようか」
「あ?ああ、そうだな」
クリアスは、家の出口の近くにあった武器、剣を手に取り、家を出ようとした。
二人は毎日、剣の稽古という名目の修業をしていたのだ。もっぱら父親の剣技にはクリアスはまだまだかなわないが。
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