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……でも、まあ、それがいいかも。 結城の部屋に送り届けようものなら、あの兄貴が「寝てる妹になにさらしてくれてんだ!」と人の話を聞かずに怒り狂うだろうし、俺の部屋に連れて行ったりした日には……。 ……うん。 上原の部屋が無難だ。 「じゃあ頼むわ」 「はーい」 上原はニッコリ笑って、その手を俺の前に差し出した。 「……なに」 「え、いや。りおちゃん運ぶからちょうだい」 ちょうだいって。 結城を物みたいに。 「いい。俺が運ぶ」 上原の手を押し退けて、結城を抱きかかえて立ち上がった。 「……ふふふ」 上原がまた何かを含んだ目をしながら笑ったけれど、無視してリビングを出た。 「ちょっと、待ってよ」 パタパタ小走りで上原が後を追ってきた。 そのまま俺を追い越して、自分の部屋の鍵を開ける。 ドアを開いて「どうぞ」という仕草をしたので中に入る。 「私のベッドでもいいんだけど、大ちゃんが嫌がるだろうから布団敷くわね。待ってて」 余計なことを言いながら上原はクローゼットの中から布団一式を取りだし、手早くベッドの横にそれを敷いた。 その上にそっと結城を寝かせる。 「うーん……」 小さく呻いて眉間にシワを寄せた後、また穏やかな顔に戻って静かな寝息を立てる結城。 ちょっと起きて欲しかったけど、仕方ない。 今日のところはひとまず退散するか。
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