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「朝起きたらいないから焦ったんだぞ。まさかと思ってあの変態教師の部屋行ったけど出てこないし。片っ端から部屋のドア叩いて調べてたんだ」 「もう……大袈裟だよ翔兄は」 「大袈裟なもんか。あの変態教師が隣の部屋だっつーのに」 「もーっ。先生を変態って言うのやめてよ」 「……あのー、横から失礼します」 あたしと翔兄のヒートアップしそうな口論を、沙羅さんが遠慮気味に遮る。 「お兄様、ご心配おかけして大変申し訳ありませんでした。ゆうべはりおちゃん、なかなか眠れなかったようで、気分転換に起きてきたところ私とばったり会いまして。で、その場の流れで私の部屋へ泊まることになりまして。時間も時間ですしお兄さんはおやすみ中でしたでしょうから、あえて報告はしなかったのですが……。結果。お兄様を心配させることになってしまいました。本当に申し訳ありませんでした」 上品に頭を下げる沙羅さん。 それを見てあたしも慌てて頭を下げた。 「ご、ごめんなさい」 「……」    翔兄は少しの間、黙ってこちらを睨み付けていた。
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