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「それよりも、やっぱり私の見立ての方が合っていたってことですね」
見立て?
タニマ先生の言葉の意味が分からず、あたしは黙って先生の反応を待つ。
「そんなに仲良く手を繋いで。部屋に入ってきたのが私でなかったら、ちょっと危なかったですよ」
手……って、あ!
ハッとしてあたしは顔を思い切り下に向けた。
あたしと先生の重なった手と手。
タニマ先生の突然の登場に、繋がれたままだった。
わわわっ!
ババッと飛び跳ねるようにして自分の手を引っ込める。
時すでに遅し、だけれども。
そんなあたしの様子に、タニマ先生はクスクス笑っている。
……なんかこの笑い方、好きじゃない。
なんでも知ってますって顔で、慌てるあたしを余裕で眺めてる。
つい卑屈な思考が頭を巡って、あたしはそんなことを考えた自分も嫌になる。
俯き加減になったあたしの頭に、ポン、と先生の手が乗っかった。
顔を上げると、先生と目が合う。
「大丈夫」
小さな声で囁かれ、先生はその視線をタニマ先生に移した。
「これ以上誤魔化しても意味ないと思うので認めます。俺と結城はあなたの想像通り、付き合ってます」
「──っ」
はっきり、キッパリと言いきった先生に、あたしは息を飲んだ。
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