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せ、先生?
急になにを……。
なんでこの人にそんなこと……。
嫌な動悸が鳴り始め、喉が急速に渇いていく。
怖くてタニマ先生の方を見ることができない。
あたしは固まったまま、先生を見つめていた。
「そんな宣言されなくても知ってますから」
けれど、そんなタニマ先生の言葉に、あたしは驚いて彼女の方へ振り返った。
知ってる?
どうして?
「それでも良いって言いましたでしょ。私は、そんな石田先生と」
「ただでさえその変な噂で結城を不安にさせているのに、これ以上誤解されたくないんで」
「……あら。無視されちゃった」
ポンポンとあたしの頭上を飛び交う会話。
その話の内容がさっぱり分からないあたしは、先生とタニマ先生を交互に見るだけ。
……って、なにこれ。
あたし、まるで部外者みたい。
先生とタニマ先生は、その後もよく分からない言い合いを続けている。
それを、ただ眺めているあたし。
……なんか……
段々…………
ガタンッ!!
ピタッと先生とタニマ先生の会話が止む。
あたしが音を立てて勢いよく立ち上がったから。
キッと、タニマ先生を睨み付ける。
ワケが分からないけど。
現状、さっぱり把握してないけど。
だけど、あたしをまるで眼中に入れずに話し続けられたんじゃ、さすがに腹が立ってきたよ。
だって、あたしは──
「あたしは先生の彼女です。あたしのことを無視して話を進めないでください」
真正面からタニマ先生を見据えて言い切った。
今日、初めて彼女と目が合った気がする。
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