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その日は時間の経つのがものすごーーーく長かった。 長く感じた。 やっと放課後になった時、あたしは5歳くらい年を取ったんじゃないかって思うほどだった。 5歳……。 5歳年を取ると、あたしは23歳。 23歳になったら、あたしも少しは女っぽくなって、色気なんてものも出てくるだろうか。 モヤモヤとタニマ先生のシルエットが脳内に浮かんで、慌ててそれを振り払った。 そんなこと、今はどうでもいい。 とにかく今は先生と話したい。 あたしは、昼休みに届いていた先生のメールをコッソリ読み返した。 先生が学校でメールをくれるなんて、初めてのこと。 思わずにやける顔を掌で隠してごまかす。 『19時に共同リビングで話そう』 内容としてはたったこれだけなんだけど。 「りおー。この後ひま?顕がさー」 「ごめん真亜莉。今日はすぐ帰らなきゃで」 19時まで時間はたっぷりあるけれど、どこかに寄って帰る気分ではなかった。 逸る気持ちを無理矢理押し込めて、あたしは「きんもく荘」に向かって走り出した。
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