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「また後で話そう的なこと言ってましたよね」 なんだか納得できなくてポツリと呟く。 「あー……。まあ……。でも、あの人なんか変だから、俺はいなくて良かったけど」 「変?」 隣の先生を見上げる。 先生は眉尻を下げて困ったように微笑んだ。 あたしの知らない間に、2人に何があったんだろう。 やましいことがなかったとしても、あたしの知らないことを2人が共有しているのって、なんだかすごく嫌だ。 こういうのって、束縛っていうの? 先生はこんな考え方、嫌いかな。 そんなことがグルグルと頭を巡って、あたしは黙りこんだ。 「結城」 先生があたしを呼ぶ。 俯きかけていた顔を、再び先生の方へ持ち上げた。 「ごめんな。お前に一番に言わなきゃいけなかったのに、先延ばしにして、結局こんな形になってしまって」 ポン、と頭に先生の掌が乗っかった。 そのままあたしの髪を撫で付けながら、先生はゆっくりと説明を始めた。
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