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「な、納得しろって言われても……。納得のいく説明がないと、あたしだって納得できません」 「だから説明しただろ」 「分かんないもん!」 「…………“もん”って……」 ハーーー……と、先生が長いため息をついた。 ため息率高い。 あたし、困らせてる? 「お前、子どもじゃないっつっといて“分かんないもん”って、めちゃ子どもな」 「だ、だって」 「まあ、分かるって言われてもやだけど」 フッと鼻で笑う先生。 「いいの、お前は。分からないままで」 改めてあたしを真正面から見つめて、先生は静かに言った。 「だから納得しなくてもいいよ。だからってお前を子ども扱いしてるわけじゃねーから」 先生の手が伸びてきて、あたしの頭を優しく撫で付ける。 「じゃ、そういうことで」 そう言って先生は立ち上がろうとした。 ……え? これで終わり? 「いや、いやいやいや。そういうことでってどういうことですか?分からないままでいいって言われても、あたしはやっぱり納得できま」 「……あー、しつこい!」 あたしの言葉を遮って、先生がたまりかねたように声をあげた。 ──えっ、ええ!? その言葉にあたしは耳を疑った。
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