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なぜって…
常務の秘書になって長いけれど
常務から家族の話を聞いたのは初めてだった。
見たことのない…息子さん想いの常務。
それに…
誰にも頼めないことを私に頼んでくれることが嬉しかった。
午後の始業の予鈴が鳴る。
「…すまない。もう時間だな。詳しいことはまた話すよ」
常務の表情は晴れていた。
「では…失礼します」
私はいつも通りに常務室を後にした。
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