恋愛嗅覚

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「え―――!!?」 「…常務の息子さんと…!?」 理央が叫び、望愛がポカンとする。 「うん」 私が返事をしながらデスクに仕事のファイルを広げると、二人が寄ってくる。 「…『うん』って…奈美、やけに冷静じゃん」 「…ホント。何にも動じてない感じ…」 「だって、フリだもん。お見合いの…フリ」 「フリ!?」 「フリ??」 「うん。…こんなことして…いいのかなって思いはあるけど、他ならぬ常務の頼みだし。それにお見合いなんて一生経験しないと思ってたから、ちょっと面白そうだし」 「へえ…。そう言われてみれば、そうかも。私も行ってみたいな」 「何言ってんのよ?理央には将来有望なパティシエ君がいるでしょ?それにね…」 「それに…?」 「常務の息子さん、ちょっと…変わり者らしいの」 「変わり者!?」 「…変わり者…?」 二人が眉間にシワを寄せた。 私もそこのところが心配要素ではあったけれど… …フリなんだから、大丈夫よね。 「さ、仕事!」 キリよくそこで午後の始業のチャイムが響いた。
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