恋愛嗅覚

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待ち合わせ場所は高級ホテル、ホワイトウィングのロビーラウンジ。 その後同じホテルのカフェバーで顔合わせ…というスケジュール。 私は待ち合わせ時間の10分前にはホテルのロビーに到着していた。 私は秘書。 スケジュールに遅れは取らないのだ。 …待ち合わせなんて… …どれくらいぶりだろう。 ロビーの汚れのないガラス扉に視線を注ぐ。 ガラスの向こうに立つ男性全員を視線が忙しく追っていく。 あの人…? …若すぎか。 あ、あの人? …40代か。 …てか、まだきっと来ないよね。 …落ち着け…私。 こんなにもドキドキしてしまうのは 待ち合わせが久しぶりだから。 慣れないワンピースだから… ガラスの向こうに瞬きの早まる目を向ける。 すると、不意に視線とは逆に、後ろから声を掛けられた。 「もしかして…西田さん?」 私は一瞬ビクついて… バッグの柄をギュッと握りしめて振り返った。
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