恋愛嗅覚

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「やっぱりこれよね?」 千草さんが私と奈美に意見を求める。 千草さんは今日は望愛のためにブティックを貸しきりにして 普段は置いていないウェディングドレスをたくさん取り寄せたのだという。 その中で最終的に選んだのはオフホワイトのエンパイアラインのドレス。 派手な装飾がないシンプルなデザインだけど、望愛にはそれが一番似合っていた。 お腹を締め付けず、胸の下あたりにくびれをもってきているのも決め手の一つだった。 「これに…決定だよね」 「だよね」 「モンスターがデレデレになるね」 「ホント、楽しみ~」 「ちょっと、理央!千草さんの前だよ」 望愛が私の腕をトントン叩いた。 「『モンスター』って、渉のこと?」 千草さんが手元を動かしながら聞く。 私たちの表情で答えのわかった千草さんは高らかに笑った。 「ぴったりなあだ名ね!」
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