恋愛嗅覚

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私は通話の終わった携帯電話をまだ耳に押し当てていた。 その時、 「あ―満腹!!麺類にしとけばよかったぁ、定食ガッツリ食べすぎちゃった!」 「今日の定食、結構ボリュームあったよね」 二人が秘書室に戻って来た。 「望愛はいいよね。二人分食べなきゃなんないし」 「でも、そんなに食欲湧かないもん」 「…で、奈美は何してんの?」 理央が言う。 「どうしたの…?熱…?」 と望愛。 「…なんでもないよ」 そう言いながらチークの色を消してしまうくらいに顔が赤くなる。 「携帯片手に、赤い顔して何でもない?…奈美ちゃん…嘘が下手ね」 理央がにっこり笑った。 そして予鈴が鳴った。 「…もう…時間だね」 望愛が時計を見て言った。 「…仕方ない。緊急会議は定時後ね。ね、今日、焼肉行こ!焼肉!」 「…月曜から!?」 理央の提案に思わずツッコむ。 「いいの、いいの」 理央は眉を上げて笑い、望愛は小さく頷きながら笑った。
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