恋愛嗅覚

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そして定時後―― 私たちは煙の立ちこもる焼肉屋にいた。 網の上ではタンは終わって今はハラミ。 ジュージューと油の弾ける音が食欲をそそる。 私は週末のお見合いデートから昼間の電話までの経緯を二人に話した。 いつも望愛を攻めて、つい最近では理央のことまでつついていた私が、 逆の立場になろうとは思ってもいなかった。 久しぶりに自分の気持ちや…相手のことを話すのは思った以上に恥ずかしかった。 「なんかさ、私たちに恋愛の運気が向いたのって…やっぱり…望愛の幸せオーラのおかげかな?」 理央が大きな口に焼けたてのハラミを放った。 「…だよね。すごいな…もしかして…お腹の中のベビちゃん効果かもね…」 私も網からお肉を剥がしてタレをたっぷりと付けて口に入れた。
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