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翌日
登校したリオナは、眠そうに欠伸をしながら教室へ向かっていた。
教室の手前の階段にさしかかろうとしたその時、誰かと肩がぶつかり、リオナは転んでしまう。
「いたっ!」
怪我はなかったが、リオナは痛そうに肩をさすっている。
しかし、肩をぶつけた相手と思われる男はこちらを見向きもせず、何事もなかったかのように歩いていく。
「ちょっ、待ちなさいよ!」
普通の人間ですら怒るような状況なのに、あのリオナが怒らないわけはなく、男は声をかけられてようやく立ち止まった。
「人にぶつかっておいて何か言うことないの?」
男はこちらに顔だけ振り向き、目を見せた。
冷たく、闇に閉ざされたような真っ黒な瞳。体格も大きく、まるで獣のような殺気を放っている。
「何か文句あんのかよ」
「大有りよ!何その態度!ぶっ飛されたいの!?」
「朝からうるせーやつだな。やれるもんならやってみろ」
「上等よ!表でなさい!」
リオナに大きい声で、野次馬がだんだん集まってきた。
「お、おい見ろ。クロードにケンカ売ってる女いるぞ」
「お前こそよく見ろよ。ケンカ売ってるやつもただの女じゃなくて、あのリオナだぞ」
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