英雄の娘

16/25
前へ
/271ページ
次へ
午前中の授業が終わり、昼休みの時間になった。 生徒たちは各々友だちと固まって弁当を食べたり、食堂へ言ったりと、賑やかな1時間である。 しかし、1人でポツンと自分の席でいつも過ごしている人物が2人いる。 1人で弁当を食べるリオナと、1人で何も食べずに机に突っ伏して寝ているクロードである。 リオナはそこで初めて、クロードが同じクラスメイトなのだと気づいたが、もうどうでもいいと思ったので、特に何もしなかった。 「あ、あのさ」 いつものように1人で弁当を食べるリオナに、ある1人の女子のクラスメイトが話しかけてきた。 オレンジ色のショートヘアが印象的な可愛らしい女の子で、みんなからユウナと呼ばれている生徒である。 このユウナはいつもクラスの中心にいて騒いでいるため、リオナもこの生徒のことは知りはしていた。 「何?」 「い、一緒に食べようよ。みんなで、ね?」 ユウナは突然なぜかリオナを気遣い、輪に入ってくるように誘った。 生徒の約半分は食堂に行っていたが、もう半分は、そのユウナとリオナとのやり取りに注目が集まった。 「いい」 「えっ?」 「アタシに構わないで。向こう行って」
/271ページ

最初のコメントを投稿しよう!

38人が本棚に入れています
本棚に追加