邂逅

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城を出る道中、先ほどの入隊希望者のうちの2人が前方で話しているのが見えてきた。 それはユリカとアラタ。ユリカがこちらに気付き、手を振って走ってきた。 「出てくるのが遅いですわ。私とアラタさんはずっとあなたたちを待ってましたのよ」 そう言ってユリカが振り向く先には、こちらに歩いてくるアラタの姿があった。 「誰も待っててなんて言ってないけど?」 「私はリオナに、アラタさんはディオさんに挨拶がしたかったんですの。少しだけでしたが、同じチームで戦えて良かったって」 ユリカがそう言って微笑むと、アラタも追いついてきてディオに手を差し出してきた。 「ディオ、さっきはありがとな。機会があれば是非また会えるといいな」 「こちらこそ!おかげさまで楽しかったです!」 ディオは快く握手に応じる。姉と弟でこうも社交性が正反対とは信じられない。ユリカはそう思いながらも、リオナが握手に応じるとは思えず何も求めなかった。 「ふ、ふん。アンタもちょっとは成長したんじゃない?」 リオナはそっぽを向いて少し照れながらも、ユリカに向かって手を差し出す。 予想外過ぎたが、あのリオナが少しだけ自分を認めてくれた。ユリカはそれが嬉しく、リオナの手を握る。 「これは意外でしたわ。いつもそう素直になればいいのに」 「う、うるさい!」 リオナが照れているのを見て、ユリカやディオはつい笑みがこぼれた。
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