第二章 解仰

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「・・・何だったの?今の・・・」 暫く後。 漸く物体の雨が止み、真理阿が恐る恐る身を起こしながら、伊吹に問い掛けた。 「分かった事は、二つ、だな。」 伊吹は、回避の途中に掴んだ”その物体”を眺めながら、応えた。 「先ず、一つ。生き残りの人間が見付かった、って事。」 ”物体”は、明らかな人工物だった。 しかも。 ”回避行動”が必要な程、ほぼ正確に、3人に向けて飛んで来た。 自然の作用であるとは考え難い。 「もう一つは・・・」 伊吹の鋭い視線が、教会の入り口に注がれる。 「あまり歓迎されて無い、って事だ。」 「でも、何で?」 「さあ、な。」 かつて”バグ”であった伊吹にとって、突然、理不尽に攻撃を受ける事は通常の事だ。 が。 物体は、伊吹の娘である未来は兎も角、真理阿の身も狙っていた。 ”バグ”である事が理由では無いだろう。 「それに・・・」 「こ、これ・・・!」 伊吹の手の中の物体を覗き込み、真理阿は言葉を失った。 その形状には、見覚えがある。 と、言うより。 忘れようにも、忘れられない。 かつて、真理阿は。 それと同じ物で”命を落としかけた”のだから。 「ねぇねぇ。これって、なぁに?」 未来は自分の掴んだ、同様の物体を弄びつつ、どちらにとも無く問う。 「・・・棒手裏剣、だ。」 応えたのは、伊吹だった。 真理阿は未だ、呆然とそれを見詰めている。 「手裏剣!?」 何故か未来の顔が、ぱあ、と輝く。 「ニンジャ!?ニンジャいるの!?」 「忍者かどうかは分からないけど・・・」 突然、勢い込む未来に、若干戸惑い、若干呆れつつ、伊吹が言葉を濁す。 「すごーい!やっぱりお城には、ニンジャがいるんだね!」 「えー・・・と・・・」 色々と間違え過ぎていて、どこから訂正していいか解らない。 「おーい!ニンジャさーん!」 「あ!おいこら!」 未来は楽し気に、歩調も声も弾ませつつ、教会の入り口へと向かう。 「み、未来!危ないよ!」 我に返った真理阿も、それを制止しようと声を挙げたが。 「ニンジャさーん!私、未来!出て来て友達になろーよー!」 未来には、全く効力を持たない。 とうとう、未来は教会内部へと足を踏み入れた。 と、同時に。 「うぉぉぉぉ!」 雄叫びを挙げる影が、未来に迫り来た。
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