第二章 解仰

6/8
前へ
/42ページ
次へ
「最初から、色々と不自然だったが・・・」 穴の向こうには、地下へと続く階段があった。 薄暗いそれを降りつつ、伊吹がぼそりと呟いた。 「こんな隠し階段まであるとなると、いよいよ普通の場所じゃねぇな、ここ。」 「当たり前だよー!」 後ろに続く未来が、少々呆れた、と言った口調で声を挙げる。 「だって、お城だし、ニンジャいるし。フツーじゃないに決まってるじゃん!」 「・・・」 一番、普通じゃないのはお前だよ、と言う台詞を飲み込み、伊吹は苦笑した。 「ねぇ。伊吹。」 最後尾の真理阿が、問い掛けて来る。 「伊吹は、ここが何なのか、見当付いてるんじゃない?」 その訊き様は、真理阿自身も、薄々、その回答が浮かんでいる事を示していた。 「・・・」 確証は、無い。 が。 居沼杏子。 二重螺旋。 その、二つのキーワードは。 伊吹と真理阿に、同じ連想を促した。 『やっぱり・・・』 かつて広大な国土と、世界最多の人口数を誇り。 様々な文化、文明の発祥の国。 名も、世界の中心である事を表す、”中国”。 『真理阿も、同じ考え、か。』 ”彼等”の拠点には、成る程、ヨーロッパ圏の国々等より、相応しいと言えるかも知れない。 階段を降り切ると、対面にドアがあった。 そのノブを掴み、開けると。 「う・・・!」 暗闇に慣れた目を射るように、光の洪水が三人を襲った。 そして。 暫く後、漸く視力が回復した三人が見た物は。 「うわぁ!すごーい!」 未来が歓声を挙げて、駆け回る。 それが可能な程、だだっ広い空間。 所々、大仰なデスクトップパソコンや、何等かの機材、モニター、果ては電子顕微鏡らしき物まで設置されている。 そして。 「どうやら、的中、みたいだな。」 各所に点在する、上の教会の壁に印された紋章と。 こちらは、その下部に”KNOWS”の文字。 「やっぱり、知る者の・・・!」 真理阿もそれを発見し、小さな驚きの声を挙げた。 「支部なのか本部なのかは、知らねぇけど、な。」 「居沼さん、知る者だから生き延びた・・・?」 「だったら、東藤だって死なずに済んだ筈じゃないか?」 「あ、そっか・・・」 「兎に角、何かあるな。実年齢で40位の居沼杏子が、ばあさんみたいになった理由も・・・」 「私はまだ36だ!」 突然、背後から声が響いた。
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加