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「最初から、色々と不自然だったが・・・」
穴の向こうには、地下へと続く階段があった。
薄暗いそれを降りつつ、伊吹がぼそりと呟いた。
「こんな隠し階段まであるとなると、いよいよ普通の場所じゃねぇな、ここ。」
「当たり前だよー!」
後ろに続く未来が、少々呆れた、と言った口調で声を挙げる。
「だって、お城だし、ニンジャいるし。フツーじゃないに決まってるじゃん!」
「・・・」
一番、普通じゃないのはお前だよ、と言う台詞を飲み込み、伊吹は苦笑した。
「ねぇ。伊吹。」
最後尾の真理阿が、問い掛けて来る。
「伊吹は、ここが何なのか、見当付いてるんじゃない?」
その訊き様は、真理阿自身も、薄々、その回答が浮かんでいる事を示していた。
「・・・」
確証は、無い。
が。
居沼杏子。
二重螺旋。
その、二つのキーワードは。
伊吹と真理阿に、同じ連想を促した。
『やっぱり・・・』
かつて広大な国土と、世界最多の人口数を誇り。
様々な文化、文明の発祥の国。
名も、世界の中心である事を表す、”中国”。
『真理阿も、同じ考え、か。』
”彼等”の拠点には、成る程、ヨーロッパ圏の国々等より、相応しいと言えるかも知れない。
階段を降り切ると、対面にドアがあった。
そのノブを掴み、開けると。
「う・・・!」
暗闇に慣れた目を射るように、光の洪水が三人を襲った。
そして。
暫く後、漸く視力が回復した三人が見た物は。
「うわぁ!すごーい!」
未来が歓声を挙げて、駆け回る。
それが可能な程、だだっ広い空間。
所々、大仰なデスクトップパソコンや、何等かの機材、モニター、果ては電子顕微鏡らしき物まで設置されている。
そして。
「どうやら、的中、みたいだな。」
各所に点在する、上の教会の壁に印された紋章と。
こちらは、その下部に”KNOWS”の文字。
「やっぱり、知る者の・・・!」
真理阿もそれを発見し、小さな驚きの声を挙げた。
「支部なのか本部なのかは、知らねぇけど、な。」
「居沼さん、知る者だから生き延びた・・・?」
「だったら、東藤だって死なずに済んだ筈じゃないか?」
「あ、そっか・・・」
「兎に角、何かあるな。実年齢で40位の居沼杏子が、ばあさんみたいになった理由も・・・」
「私はまだ36だ!」
突然、背後から声が響いた。
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