第3章 パール・ネックレス

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それでメンバーが気づいたのは、ライヴハウスの客達も新しいインパクト、そしてそれを与えてくれるバンドを求めていたということである。 それも「私だけしか知らない」「これから伸びそうな」バンドを…これまでのロックを変えたいバンドと、その瞬間に立ち会いたい客が、小さなライヴハウスからではあったが、抱き合い、その空気をもっと広く伝えて行こうとしているのだとメンバーは確信した。   それから間もなくだった。ホームグラウンドの客席に、明らかにYOUのコスプレと思われる女の子が、たった一人ではあったが出現したのである。 それも客席みんなが「似ている」と認めざるを得ないほど、雰囲気がYOUに似ている子だった。 嬉しくなったYOUはその子の勇気をたたえるためにも、ステージからその子を挑発した。彼女の方もそれですっかり舞い上がり、ガンガン踊っていた。  メンバー間でもこのことでもちきりだった。 「嬉しいね。」 「YOU、自分じゃよくわからないかもしれないけど、YOUのミニチュア版て感じに傍からは見えたんだよ。」    それを見た他のファンも黙ってはいなかった。 自分達もコスプレを始めたのである。 スカートのギター組だけでなく、他の三人のコスプレも現れた。 まだチームこそなかったが、都心の老舗のホールのイベントにMOONが初めて出た時も、彼女達は来てくれた。
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