第3章 パール・ネックレス

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(何だろう、みんな似たような格好で…)  彼女達を見る目は大部分が冷ややかだったが、MOONの出番になるとそこだけ賑やかなことから彼女達がコスプレとわかり、好意的に見てくれた他のバンドの客もいた。 だが、 「コスプレなんて、許されるのはROSEだけだよ。」 その日の対バンの中で一番名前が売れているバンドに陰口を叩かれていた。 すると、同じように連中にうんざりしていた他の対バンが教えてくれた。 「前回にここでやった時、別のバンドがインディー持ってるメジャーから声かけられたんだって。で、何で自分達じゃなかったんだ、ってイライラしてるんだよ。」 「ふうん。」 何気ないふうを装ってしまうほど、YOUの内心には焦りがあった。  体調のせいかその日の自分の演奏はぱっとせず、次のホームグラウンドでのライヴも納得のいくものではなかったYOUは打ち上げでも自己嫌悪で押し黙ったままだった。  バンドの方もうまく行かないなんて…  誰にも話せはしなかったが、相変わらずファンではない女の子と遊んではいたが、その頃のYOUは、苦しい…恋もしていた。
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