第3章 パール・ネックレス

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 ふと、路上に止めてあった自転車が目についた。 誰のものかもわからないそれに手をかけると動いたので、さっさとサドルにまたがった。 「お前、ウチ遠いの? まあ乗れよ。」 彼女が恐る恐る腰に手をまわしてきたのを確かめると、ドレスの裾気をつけろよ、と言いながら、YOUは深夜の街をあてもなく、ペダルをこぎだした。 メンバー達が何か叫んでいたが、もう気にならなかった。 「ねえ、どっちに行けばいいの? 」 「あの…ここでいいです。隣町なので…」 「そんなわけにはいかないよ。」 「あたし、もう、充分に幸せだから。」 「こんなもので? 」 「うん。」 彼女の腕に力がこもった。なんだかこの女の子が可愛らしくなって、 「俺の部屋に遊びにこない? 」 途端にバランスが崩れ、YOUはあわててブレーキをかけた。 「大丈夫? 」 振り向くと、ステージの格好の小さな自分が自転車から飛び下りて、おびえた目で自分を見ていた。 「あたし、そんなつもりじゃ…あたしは、ただ、YOUさんのこと何もわかってない人に腹が立って、かみついただけ…」 「お前みたいな若い子に何もしやしないよ。女なんか間にあってるんだから。なにより、自分にそっくりな奴の服脱がせてどうするんだよ。」
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