第3章 パール・ネックレス

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あはは、と彼女はようやく笑い、そうですよね、とまた荷台に乗ってきて、YOUにしがみついてきた。 もう暴れるなよ、と釘を刺すと、方向転換をしてYOUは進み出した。 「年いくつ? 十五? 十六? 」 「十六。YOUさんは? 」 「二十一。名前は、なんていうの? 」 「由真。加藤由真。」 「俺はね、松岡優輔。」 「へえ、そんなカッコいい名前なんだ。それでYOUさん、ていうのね。」 「俺の部屋、相当ボロいから。驚かないで。」 「私のウチもそうなの。」 「いや、絶対、俺の勝ち。」     しかし、部屋に着くと由真は驚かなかった。間をもてあましたYOUは冷蔵庫を開けた。 「ウーロン茶しかないんだよねえ…ビデオでも見る? 」 「うん。何の? 」 「CUEがローディー見習いやってたバンド。ROSEと一緒にライヴハウスでやってた頃の、貴重な映像。非売品。」 すごい、と言うので、デッキに入れた。 が、ベッドに寄りかかるように二人で座った途端、ビデオはどうでもよくなった。 「それにしても、この服すごいな。自分で縫ったの? 」 「ううん。似たような服買って、改造したの。私、家庭科系、得意だから。」 メークがかなりとれてきていて、彼女の横顔には幼さが見える。
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