第3章 パール・ネックレス

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「こんな時間まで、一人であそこにいたの?」 「うん…」 彼女は口ごもると耳まで真っ赤になった。 「…もう一度YOUさんの顔、見たかったから…」 「嬉しいこと言ってくれるじゃん。バンバン見て。」 はにかみながら笑う由真を見ながら、こんなに近くにいても、どうしてか手を出したいとは思わなかった。    ブリーチした茶色めの髪にひき立たせられる、二重の大きな瞳が印象的なはっきりとした顔立ちの子。 大人びた綺麗さからは意外な、幼さ、可愛らしさがYOUの恋愛のスイッチを妨げている…というより、そういった関係とは無縁の、天真爛慢な存在でいて欲しいと思わせるのだ。 だから、今夜限りのつきあいにはしたくなかった。 「ねえ、もうこんなに遅いからさ、いちおう家に電話した方がいいんじゃない? 今日は友達のうちに泊まります、って。」 「えっ…私、帰ります。」 「由真ちゃんベッドに寝ていいからさ。俺、下で寝るから。朝までおしゃべりしようよ。」 「…」 「泊まっていってほしいの。このまま帰したら、もう友達になれないような気がして。」 もちろん口説くつもりなんかない。それがわかって由真はどこかがっかりもしているようにも見えた。が、うなずくと、 「電話はしなくていいんです。今の時間うちの親仕事だし。それにぜんぜん私のことなんてかまってないから。」 恐ろしく冷ややかな口調は、YOUが何か冗談でも言わなければと思うほどだった。
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