第3章 パール・ネックレス

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ZENNさんのバックアップもあるし…という言葉をマリアは流すと、 「そんなの、まだまだだよ。」 「ううん、マリアは絶対そこまで行くもん。」 「すごい期待だな。」 「マリアのことが好きだからって言ってるんじゃないわ。事実ですもの。音楽雑誌開いてごらんなさいよ。MOONよりカッコいいバンドなんてないじゃない? 曲だってROSEと全然違って新鮮だし。」 ほめ言葉が単純に嬉しかった。 「そうだな、俺達だったらあっという間に登りつめちゃうかもな…なんて生意気言うのはお前の前だけでやめる。よく、松岡の鼻はテングの鼻って陰口叩かれてきたからな。」 はすっぱな軽口が何とも愛しいらしく目を細めて聞いていた由真はうっとりと、 「本当にマリアの鼻って高いし、形がいいわよねえ…」 と言う。しかし、その後が意外だった。 「そんなバカな陰口なんて、勝手に言わせておけばいいのよ。」 いつもの由真からは想像できない冷ややかな口調にマリアはどきっ、とした。 弾けるような激しさ。しかし思い起こせば、出会いの時がそうだった。 マリアの目には整った顔立ちとしか見えない由真は、確かに性格のきつさのようなものがにじみでているのだろうが、大人びた外見とは裏腹の幼さとか従順さとかいったものしかマリアには感じられない。
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