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まだ高校二年だっていうのに、すでに都合のいい女。由真の手料理が並べられたテーブルで、二人で食事をするのがマリアは大好きだった。
ママゴトのような暮らしが気に入っていた。
彼女が忙しく立ち働いている間、自分はよそのお姉サマにピアスを買ってもらっていたり、部屋に招かれたりも…していたかもしれない。
しかし、帰れば、貧相な自分のお城にあたたかな彩りが添えられているのが嬉しかった。
由真、君への報酬に俺は何があげられるだろう?
キス、セックス、「好きだ」「愛してる」の言葉、きっとそんなものであるべきなんだろう…そう思いながらマリアは心配になる。
その中に一〇〇パーセント愛が充満していないことを由真は気づいていないのか? それとも、考えまいとしているのだろうか?
由真の体から離れた時、マリアは奇妙な安心に満たされていた。
ZENNとのあのような体験をしても、普通の若い男に戻れたのだと…由真も珍しく、自分に背を向けた。
「どした? 」
瞳をのぞきこんでも、恥じらうばかりで由真は何も言わない。
抱き寄せるとしがみついてきて、かすかに囁く。
「…すごく、優しかったから…」
ふだん以上の激しさにこめられていたのは、いつものイラ立ちではなかったということなのだろう。
そう、ずっと、彼女の初めての時からなぜかマリアは由真の体の中に、イラ立ちをブチ込んでいた。
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