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「れなって悟さんのこと好きなんじゃないの?」
「そんなこと……ただの憧れと尊敬だよ。
好きだなんて畏れ多いよ」
「ふーん……」
この話は何度でも紗矢香との話で出てきたけど、いつだって納得がいかない顔をされる。
「きっと理想の人が
悟さんみたいな人なんじゃないかなー」
うわ言のように口にした。
その後はふたりでの久し振りの買い物に気分が上がる。
入社するギリギリまでバイトを続けるという紗矢香と別れると、私も入社してから使う文房具類を新調した。
「―――もしもし、姉さん?」
『良かったら今夜ご飯食べに来ない?
悟くんと一緒にお土産渡したいの』
弾んだ姉さんの声が聞こえる。
『今スーパーから帰るところだから、
このまま来て欲しいな。
一緒に作ろう?』
「わかったよー。
……けど私は料理の手伝いしない方が
良いんじゃない?」
『お料理は場数踏んで上手になるから。
大丈夫、大丈夫ー』
と、通話は終了した。
「……悟さんに料理が下手なのバレちゃう」
一人暮らししていても、
しっかり収入があるからと料理をして来なかったのが仇になった。
いつも食事といえば、外食かお弁当。
「女子力、低過ぎ……」
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