信用できない男は切るべし

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高校進学を機会に首都圏への受験を決めてこの地に越してきた。 一番の理由は実家を出て姉さんと一緒にいたかったから。 その次に 悟さんのご実家が家業としている文具店が移転したから。 正確には万年筆の老舗である高級文具店と提携したために首都圏へリニューアルオープンを果たしたからで、  私が中学生になった頃の出来事だった。 この事で高校受験のお祝いは引越しや受験費用にあてられてしまったという苦い思い出がある。 念願の子供向けではない万年筆が欲しかったのに。 そして次こそはと大学受験の合格祝いを姉さんから贈ってもらえるという事で訪れたのが、 悟さんの勤める文具店だった。 それが4年前の出来事。 「―――れなちゃん その白菜はこれくらい大きめに切ると歯ごたえが楽しるよ」 目の前で思っていたよりも大きく、 ザクザクと切られていく白菜。
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