【吉高れな】

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「マスターの18番と言えば、恋愛ですよ? れなちゃん」 カウンター越しに彩香さんへいつものコーヒーを差し出すのは、マスターの息子さんである守くん。 「……恋愛、ですか。 恋愛にまでHow to本があるんですね」 守くんまでそんな顔をしないで欲しいな。 「良かったられなちゃん読んでみて?」 マスターに守くん、私に手渡された本には 【恋愛How to】著者は彩香、 監修にcafeマスター とある。 「パラパラーっとめくって、 実践してみたいと思った項目だけでも使えるようになってるの」 「うん、 よくあるマニュアル本と違って彩香さんらしいですね」 守くんは早速読み耽っている。 実践してみたい項目、か。 「……」 「れなちゃん、困ったときにはいつでも話聞きますからね」 「そうそう、マスターの言う通り困ったら誰にでも相談しちゃえば良いのよ! 頑張って!」 ドンドンッと背中を彩香さんに叩かれた。 「はははっ……気が向いたら、やってみることにします」 気が向いたらね。 空笑いするしかないかな、これは。
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