無法国家ハラフ

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「あっ!!!」 バンッ!! 「待ちなさいっ!!」 バンッバンッバンッ!! 「クソっ…」 金髪をアップにした、キャンディは悔しがる。 「逃げちゃった?」 エレインが近くにきた。 「あの隙間に」 キャンディが壁の下にある穴を指差す。 「罠張っとこあそこに」 キャンディが頷く。 2人は今 家に入り込んでくるサンドネズミを退治していた。 この砂漠の荒野特有種のネズミだ。 「まかせてっ」 2人が振り返るとサブマシンガンを構えたクリスティーナが立っていた。 クリスティーナは2人の間を通り、物置部屋の壁に向けて構えた。 「やり過ぎクリスティーー」 キャンディが制止しようとしたがーー クリスティーナは一面に撃ちまくった。 「入ってくるな汚らわしいクソネズミどもっ!」 クリスティーナはネズミが大の嫌いで、今まで散々な苦汁をサンドネズミに飲まされてきた。 「ちょっとストーップ!」 キャンディが叫ぶ。 クリスティーナがキャンディを振り向く。 「なにっ?これくらいやらないとっ」 「やり過ぎ‥」 キャンディが呆れた目で見返す。 「そんなことーー」 ボロガシャン!!! 穴だらけの壁が崩れ、屋根が傾いた。 3人は身を固めた。 「セーフ」 「どこがセーフよっ。アウトよっ、アウト」 キャンディがクリスティーナに言い放つ。 5人がハラフに逃亡してきてから約1ヶ月半、荒野にある家を買い取り新たな生活を始めていた。 しかしすでに問題だらけの日々だった。 家は2階建てでそこそこでかいが、ずっと空き家だったために埃まみれで、ボロかった。 綺麗に片付けるのにまるまる1週間かかった。特に最悪の汚さを誇ったトイレ掃除を誰がやるかでかなり揉めた(結局みんなでやった)。 次いでサンドネズミ問題。家の至る所から入り込んでは漁り散らかしていく。これには5人は参った。ベッドで目覚めたら隣にいたなんてことがよくある。 そして食糧問題。近くに店が無いため、車で8キロ離れた街まで買いにいく羽目になる。だがそれにはいつも危険がつきまとう。 賊どもだ。 無政府状態で無法国家ハラフは、犯罪者たちの楽園だ。 人を殺しても誰も取り締まらない。警察組織がないからだ。 だから街では略奪も普通に多いからキャンディたちは少し距離を置いて暮らしていた。
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