無法国家ハラフ

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「どうするのよこれ?」 キャンディが崩壊した壁と屋根を見上げる。 「改装してオープンテラスにしない?」 クリスティーナがにこやかにキャンディに提案する。 「このクソ眩しいのに?」 エレインが笑う。 「屋根つけるの。そしたら広大な岩山たち見ながらカフェできるわよ」 「わぁい‥楽しみ~‥」 キャンディの気の無い返事にクリスティーナが 「じゃあ私が造ってあげるわよ。アンダルシア通りに並んでるお洒落なやつ」 キャンディが笑う。 「むりよ」 「できるわよっ。自信あるわ」 「むりむり」 そう言ってキャンディは物置部屋から出ていく。 「手伝う?」 エレインがクリスティーナを見る。 「ええ。そうして」 2人は片づけから始めた。 キャンディはリビングの革製の茶色のソファに寝そべり、スカイヘブンを吸う。 「ふぅ~」 口から緑色の煙が立つ。 電球の点いてない板張りの天井を見つめる。 窓から入ってくる風に浸り、涼む。 しばらくそうしていると……… 車のドアを閉める音と笑い声が聞こえてきた。 だんだん近づいてくる… そして… ドアが開き、2人が入ってきた。 「マジなんだって。ほんとにしてたんだって手榴弾でクリケット」 「うそ~。そんなのするわけないじゃん」 「してたんだよ本当にっ」 「信じられないね」 ジャッキーがテーブルに食糧が入った紙袋をドサッと置く。 「わたしだって信じられないよ。でもこの眼で見たの」 「なんの話…?」 キャンディがソファから2人を見つめる。 「キャンディ聞いてっ。メイリーったらね……」 ジャッキーがキャンディに駆け寄る。 最近ジャッキーはようやく《キャンディ離れ》が始まった。 もう頻繁に絡みついてこなくなった。 同世代のメイリーンやエレイン、クリスティーナたちと過ごしてることが大きいのかもしれない。
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