遺された者

5/5
前へ
/8ページ
次へ
その日はむしむしとしたイヤな夜だった。僕は深夜二時ぐらいに学校の屋上にねころがっていた。 うちの学校の裏口のドアにいつも鍵がかかっていないことを知っていたから入るのは簡単だった。 空には星なんか見えない。都会の空は汚すぎるから。 それでも僕はここが好きだった。 なにもかも忘れてひとりでいられる。曇った空は僕自身の心のようでもあった。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加