遺された者

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あのオルゴールは僕が付き合って一年の記念日にあげたもの。 でも、曲が別れの曲でチョイスが悪いよって怒られたんだ。その曲みたいになっちゃったよ。今は。 僕は目を閉じてまた、ベッドに倒れた。このまま彼女との思い出をみていることができなかったから。いつも隣にいた。僕の世界の全てだった。僕の世界が壊れてしまった。信じられない、信じたくない。でも僕の隣に君はいなくて、どうすればいいのかもわからない。 ふと、手を握る。金属の感触。僕らの婚約指輪。指から外して、彫られた文字を見る。 『Yuki×Yuta』 どのくらい見つめていただろう。一分だったかもしれないし、一時間だったかもしれない。ふいに僕は気づいた。 …ー泣いている。 彼女がいなくなってから初めての涙だった。僕は彼女の死をやっと理解したんだ。彼女を想うと涙は止まらなくて、部屋には僕のすすり声だけが響いていた。
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