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せめてもの救いは、子どもたちは
気付いていなかったこと。
多少「今日のお母さん変だな」とは
感じていたのかもしれないけれど、
その間に
「お母さん、どうしたの?」という
言葉は発せられなかった。
私はとりあえずこの朝の30分を
取り繕えたのである。
張り裂けそうな心臓を
崩れ落ちそうな足元を
なんとか
なんとか
保てたのである。
だけど
本当は
その震えは最高潮に達していた。
髪の毛の先から
爪の先まで、
いや瞼のふちから
太ももの外側まで
その全身が
ガタガタと震えていたのだ。
小刻みな振動は
私に今まで感じたことのない感覚を体験させていた。
それは明らかな動揺だ。
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