第1章

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 一階の廊下の奥にある自販機は、小さな列を作っていた。  今ごろ、先輩は未羽に話しかけ、周囲の目を気にすることもなく、  堂々と思いを告げているだろう。  そして、朝礼のときと同じさわやかな笑みを浮かべて、  デートの約束まで取りつけるのだろう。  私のいない間に。  未羽が、私の意見を聞かない間に。  順番が回ってきて、自販機に小銭を入れ、二回カフェオレのボタンを押す。  この役目も今日で終わりなのかもしれない。  そう思うと、しゃがんだ自分のひざに、  ブリックパックの水滴が落ちた――――
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