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「じゃあ、放課後、待ってる」
教室に戻ると、ちょうど先輩は未羽に手を振って出て行くところだった。
低いテノールの声で、ありがとう、と私の肩をたたく。
私はおそるおそる未羽に近づいた。
「先輩、なんだって?」
「……付き合おうって」
未羽の頬が柔らかなピンク色に染まるのを見て、
私は先輩が出て行ったばかりのドアを振り返った。
ねぇ、私が男だったら、未羽は私を選んでくれた?
その腕も、指も、瞳も、くちびるも、
私がきれいに攫ってあげるから。
一生を、この場で誓ってあげるから。
どんな男たちよりも、ずっと深くあなたを愛してあげるから――――
「千佳?」
私は未羽を抱きしめた。
そして良かったね、とささやいた。
未羽の甘く幸せそうな声が、私の胸をきつく焦がした。
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