第1章

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「じゃあ、放課後、待ってる」  教室に戻ると、ちょうど先輩は未羽に手を振って出て行くところだった。  低いテノールの声で、ありがとう、と私の肩をたたく。  私はおそるおそる未羽に近づいた。 「先輩、なんだって?」 「……付き合おうって」  未羽の頬が柔らかなピンク色に染まるのを見て、  私は先輩が出て行ったばかりのドアを振り返った。  ねぇ、私が男だったら、未羽は私を選んでくれた?  その腕も、指も、瞳も、くちびるも、  私がきれいに攫ってあげるから。  一生を、この場で誓ってあげるから。  どんな男たちよりも、ずっと深くあなたを愛してあげるから―――― 「千佳?」  私は未羽を抱きしめた。  そして良かったね、とささやいた。  未羽の甘く幸せそうな声が、私の胸をきつく焦がした。
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