無知なる俺らの出会いの唄

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 私がこのセカイを知ったのは中二の頃。  漫画やゲームなんかと現実が区別がつかなくなる、一番馬鹿で、一番格好をつけたがる時期だったのかもしれない。  エンジンで動く二輪、いわゆるバイクに興味を持ったのはそんな頃なのでそれしか目に付かなくなるのは仕方がない。  私は近所のバイク屋を出入りしそこからの紹介で、1件の解体業者を教えてもらった。  バイク屋に暴走族、高齢なバイク趣味の人に大学のサークル、外国の業者。あらゆる人種が出入りするこの場所で私は見習いの手伝いとして入り浸っていた。  とある日、私に声をかける女性。 「ちょっとエンジンかからなくてさ。竜さん忙しそうだし見てくれない?」  竜さんとは社長の息子で、実質ここの責任者だ。常連には顔も覚えられ、ちょっとした点検くらいは出来るようになってた私。従業員は竜さんを含めても二人しか居ないこともあり、このような声がかかることも少なくない。 「はい、じゃあ中で待っててください」  
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