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「そんなに赤ちゃんを抱きたいなら、どうぞご自分の子をお作りになられればよいのですわ!」
その瞬間、ぴたっ、とジャクシルの動きが止まった。
「え……?」
それからすぐに大きな腕がチルミーナをさらい、ひょい、と抱き上げた。
突然のことに思考がついていかないチルミーナがジャクシルの腕の中で目を瞬きさせると、彼は顔を真っ赤にさせていた。
***
ジャクシル王とチルミーナの結婚式は国を挙げて盛大に執り行われた。
同盟各国はもちろん、近隣国の者達はみな明らかに変わったジャクシル王の振る舞いに驚き、チルミーナの生い立ちに涙させられた。
式もたけなわの頃にさしかかり、ジャクシル王はラズベリア特産の香り豊かな花々で彩られた艶やかな花冠を王妃の頭上にのせ、こう言った。
「“ 愛してる ”
その上の幸せは、これから毎日、一緒に探していこう」
蕩けるような笑顔のジャクシル王に、チルミーナ新王妃はこう寄せた。
「“ 愛してる ”
喜んで……どこへなりともお供するわ」
覇王に捧げる愛蜜の花冠
-完-
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