恋の病は・・・

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「そうですよ。大人をからかうのものじゃない。…ところで、経過の確認のため来月は胃カメラの予約を入れましょう。それで結果が良好なら一種類薬を減らそうと思います。どうかな?」 彼は表情を変えず。空気に溶け込む柔らかな雰囲気を漂わせ、事も無げに言葉を置いていく。 ……また、かわされた。 そうやって、いつも私を子ども扱いして。 「…分かりました。お願いします」 心の底からため息を落とし、諦めたようにしおらしく頷いた。 腹部の診察と薬の処方、そして胃カメラの予約を入れて診察は終了。 「じゃあ、次に会うのは検査の時だね。お大事に」 電子カルテから視線を離した先生が、私の顔を真っ直ぐ見て目尻を下げた。 「はい、カメラお願いします。…先生、お仕事頑張ってくださいね」 「ありがとう。稲森さんも勉強頑張って下さい」 彼はそう言って、私を笑顔で見送った。 検査の同意書と説明用紙が渡されるのを待って、私は先ほど開いていた雑誌を手に取り待合室の椅子に腰を下ろした。 また、一か月も先生に会えないんだ…… ……毎日、先生に会いたい。 365日が診察日だったらいいのに―――― どうにも出来ない淋しさが襲う。
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