プロローグ

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『かなこ』  キュッと、空いた手で制服の胸元を握りしめる。  その下にある傷跡は、あの事件がたしかに現実のものであったということを、私に突き付けている。 『……もうサイレンが鳴る。  合流して、戻るぞ』 「……うん」  答えた瞬間に、耳をつんざくサイレンが鳴り響いた。  日に二度鳴るサイレン。  一度目の音でアンドロイドが覚醒し、二度目の音で停止する。  二度目のサイレンが鳴った後は、学園内のアンドロイドが人を襲うことはない。
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